「何でここが分かったんですか?」



「いや、会場付近ってけっこう都会だし…山と畑って聞いて思い浮かんだのがここで。まさか本当に居るとは思わなかったけどな…」



そう言いながら、
北条さんが私の頭を撫でてくれた。




「…恐かったよな。ごめん」



何だか嬉し過ぎて、涙が…



「泣くなよ。もう、大丈夫だから」


「うっうえ~ん」


北条さんが優しいせいで、
よけい涙が出るんだよ。




「…さて、これからどうしようか」



「帰るんじゃないんですか?」




「…いま何時だと思ってんの。電車なんかもう走ってないぞ」





北条さんに言われて、慌てて携帯を開いた私…


げっ…0時回ってるし





「お前とホテルは不味いもんな…未成年だし」





北条さんのことだ。

ホテルが嫌なんて言ったら、
「野宿しよう」なんて言い出しかねない…



だから私は、



「大丈夫ですよ!どこのホテルですか?」



…と言った。



そして、北条さんの口から出た返答は、普段わたしがあまり聞かない単語だった。






「…ラブホ」



「…ラブ…ホ?」




ラブホって…


あのラブホですか?

男女が子孫を残す為の行為をする…あのラブホですか!?