「北城さ―ん!」
どうやら駅には私が先に着いたみたいで、北城さんが入り口の方から歩いてくるのが見えた。
私が大声で叫んだもんだから、ちょっと恥ずかしそうに俯きながら近づいてくる。
「悪いな。待った?」
「私もいま来たところです」
「…浴衣、可愛いじゃん」
ドギッ
北城さんの言葉に体中が熱くなった。
「馬子にも衣装って感じだな」
「なっ、もうっ!」
でも、可愛いって言ってくれて
すごく嬉しかった。
「花火大会の会場まで30分ぐらいだから。つか、かなり混んでんな」
「みんな花火大会行くんでしょうね。嫌だなぁ」
「はぐれんなよ?」
そう言って、北城さんが私の腕を引っ張った。
そういえば、
今までに北城さんに腕を掴まれることはあっても、手を繋がれたことない…
「うわぁ~すごい人ですね」
「けっこう有名だからな。ここの花火大会」
会場に着くと、
思ったよりも人がいた。
「…腹減った。屋台のほう行かね?」
「いいですね。」
通りすがりにすれ違うのは、
カップルばっか
私たちもカップルに見えてるのかな?