「…悪いな、変なとこ見せて」
「…いえ」
気まずい空気だ。
「心配するな。花火大会をお前と行く約束したもんな」
「…あっ…うん」
そうだ、あの女の人…
『来週の花火大会の日、6時にふたりの約束の場所』って…
そうだよね。
私が北城さんと行く約束したんだもん。
「あっ、ちずちゃん!」
「なっなによ?」
急に立ち上がって大声をあげた私に目をまん丸くしている。
「もう帰んなきゃ!間に合わなくなっちゃうよ」
「はっ?」
「いいから行くよっ!北城さん、花火大会楽しみにしてますね!それじゃあ」
「え?…おぉ」
カランッカランッ
何となくその場にいたくなかった。
なんだか…
北城さん、すごく悲しそうな目をしてた。
きっと今でも、北城さんもあの女の人のことを…
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「…大丈夫?」
「うん。なんとか」
「大丈夫だって。北城さんは夏海と花火大会行くって言ってたじゃん。そりゃ、元カノさん美人だったけど…心配ないよ」
「…うん」
そうだよね。
北城さんを信じなきゃ…―