「……その事情で俺は一銭も相続出来なかった…なら…母さんたちに金銭的な援助
をする必要もないはずだ…」



「尭耶!!?あんたには情ってもんは無いの?」



「……俺の父さんは…顔だけの男だと罵っておいて…よく言うぜ…俺が誘拐されそう
になっても悪戯されそうになって…優しく包んではくれなかった。余計なトラブルに巻き
込まれる俺をいつもウザそうに見ていた…」



「尭耶…!?」


「……俺の財産もくれてやるから…金輪際…俺には連絡して来るな…」


私が目の前で一つの家族の崩壊した。



尭耶さんは先に自動扉を潜って…外に出て行った。