不器用な恋


『由月先輩は俺のものだからね。』


愛斗はアタシの首もとに熱いキスをした。


『これで、俺だけのもの!』


『愛斗、キスマークは勘弁してよ。』



『もう学校だ。行こう?』


『…。』



アタシは無言で頷いた。




『じゃあ、愛斗、またね。』


『バイバーイ!由月先輩!』


アタシは愛斗の姿が見えなくなった瞬間、教室に走った。


ガラッ!

勢いよくドアを開けると、優貴の親衛隊みたいな女達がいた。
その中に赤崎もいた。


『赤崎!越谷は?』


慌てたアタシの様子に皆びっくりしていた。


『鞄はあるので、来てるはずです…どこに居るかまでは………』


アタシは屋上まで全力で走った。


ガチャ。


屋上の扉を開けると、奥には優貴の姿があった。



『優貴!』


アタシは優貴のもとに走り寄る。


『由月…!来てくれたのか?』


『なんか寂しそうだったから。』


優貴はアタシを抱きしめた。


『お前のせいだろ?ふざけるなよ。』


『優貴…』



『なんなんだよ。お前。意味わかんねぇよ。しかもナンパされて、手まで繋ぎやがって。』


『え?なんで…』



『たまたま見かけたんだよ!』


『優貴、あのね……』


『お前がほしい。』




優貴は身体を離し、アタシを見つめる。





『ダーメ!由月先輩は俺のだから!』

ドアの方から愛斗が歩いてきた。




『悪いけど、由月先輩は僕と付き合ってるし!』


『は?』


優貴は混乱してる様子だった。