『え?何?忘れ物?』


『違います!だから…………』


そのまま愛斗は顔を赤らめて、繋いでいる手に目を落とした。




『手、繋いでるから……………………』


愛斗の声は弱くて消えそうだった。



『嫌だった?』

とアタシは言って手の力を抜く。




愛斗はそれでもアタシの手を握っている。



『嫌とかじゃなくて。。。由月先輩、鈍すぎ。普通、好きな娘に手とか握られたら、焦るでしょ?』


愛斗は相変わらず、アタシの手を離さなかった。


愛斗の指は細くて長くて、まるで女の子の手のようだった。




『由月先輩………かわいすぎ。』


愛斗は握っていた手に指を絡めてきた。



『………っ!』


アタシの身体がみるみるうちに熱くなっていくのがわかる。



『由月先輩?これ以上かわいくならないで下さいよ!止まらなくなるじゃないですか!』


愛斗は軽くキスをした。



『由月先輩!行こっか!』

愛斗も少しずつ顔が赤らんでゆく。



愛斗はフラフラして歩く、アタシに合わせて、ゆっくり歩いてくれている。




『由月先輩ん家って、ここですか?』


『うん。愛斗、ありがと。もしよかったら、あがってく?』


成り行きまかせにいった言葉がそれだった。