あーあ、くだらない。
学校というものは。
友情ごっこして、楽しい学校生活を送りましょう、とか、バカみたい。
人間、一番大事なのは、結局自分で友達なんか信じてないんだろう。
アタシは姫城由月。17歳。
退屈で退屈で、今すぐにでも学校やめたいくらい。
ただ今日は違った。
転校生が来るらしい。
教室の奴らが騒ぎ立てている。
担任がいつものように教室に入ってきた。
『おい。みんな静かにしろ〜。みんなのお楽しみの転校生だ。』
新品の真新しい、ドアから入ってきたのは、まぁまぁ背の高い男。
シャツのボタンを3つ外してあって、ネクタイもゆるめ。
首には、シルバーのネックレス。耳には、キラキラ輝くピアス。
綺麗な栗色の髪。
無造作にはねてるのが、何となくキマってる。
スクバを肩に掛けてるのも何となくカッコイイ。
顔もモデル並みにイケてる。
何もかもが普通じゃなかった。
女子の黄色い声が響く。
黒板の前に立って、軽く頭を下げ、
『越谷優貴です。どうぞよろしく。』
投げやりな自己紹介。
『越谷君は姫城の隣に座りなさい。』と言って、担任はアタシの横を指差す。
転校生はアタシにニコッと笑って、
『ラッキー!美人さんの隣だ!よろしくね!』
と言った。
無視して、窓際を見た。
隣から、小さな声が聞こえる。
『姫城さん…姫城さん…ねぇ?』
『何?』
『君ってさ、かわいい顔してんのに、案外冷たいんだね。』
呆れた。
一言目がそれかよ。
そんな転校生の隣に居たくなくて、アタシは立ち上がった。


