『はい、西城これ答えて。』


今、家庭科の授業中。



「………脂肪です。」



私はそれだけ答えると窓の外に視線を向ける。


先生は私の名前を何事もなかったように呼ぶ。


あの日のことがまるで夢だったのかと錯覚してしまいそうになるくらいに…



先生は気にしてないのかな?



そりゃあそうか…。


私なんてたくさんの生徒の中の1人でしかないんだもんね。



そんな風に割り切っても、




先生に名前を呼ばれるとすごく胸が痛い。




そうすると実感するんだ



”まだ私は先生のこと好きなんだ”って



”先生のこと嫌いになれないんだ”って



私、おかしいよね……。


そんことを考えていたらいつのまにか授業が終わっていた。



『なぁ?零、ちょっといい??』



珍しく大和が話しかけてきた。