私はもう抵抗する気力もなくし、
ただ涙を流すことしかできなかった。




『な、何やってんだよ…?!?!』



そこに懐かしくて愛しい人の声が聞こえた。



まさか…いるわけないよね?



垣本くんを見ると怯えた表情をしている。



『垣本…その手を離せ。


そしたら今回のことは俺の胸だけにしまっといてやるから。』



私は涙でぼやけながらも声がするほうを向く。



なんで……なんでいるの?


どうして…?



どうして先生がここにいるの…?



垣本くんは私から手を離し、その場を離れた。




『零?!大丈夫か…??

アイツに何もされてないか?!』



やっぱり先生だ……。


今、久しぶりに”零”って呼んでくれた気がする。




「……先生…。」


先生は汗をびっしょりかいていて息づかいも荒くなっている。




「先生…どうしてここにいるの?」



『喋らなくていいから』


先生はそう言って私を黙って抱きしめた。