「うるさいなぁ…。

それよりなんでここに来たのよ?!」


私はハエを追い払うように手をヒラヒラと振る。



『だってあんな家いたくねぇし。』


ソファに寝転がっている隼人。

もうすっかりくつろいじゃってるよ…。



『ん?そんなに家キライか??』


何も知らないお兄ちゃんは興味津々の様子。



『兄貴は何も知らないんだよな。』




「お兄ちゃんは何も知らないんだよね。」



私と隼人の声がハモる。



『へ?何が…??なんか家であったのか?』




『兄貴が家を出て1年くらい経ったころだったと思う。』



隼人はそう前置きして話始めた。



家族のことを………