ふと前を見ると海斗と目が合った。
海斗は口を動かす。
『あれって浩兄だよな?』
私はそれを見てゆっくりと頷いた。
そして隣にいた大和に何かを言っている。
私はそんな2人を横目に舞台に目をやる。
お兄ちゃんのスーツ姿は思ったよりも格好良かった。
妹の私が言うのもなんかおかしいけどね。
周りの女の子が騒いでいるのが聞こえる。
そんな中、お兄ちゃんは喋り始めた。
『西城浩介です。
この学校は僕の母校でもあるのでここで教育実習ができて嬉しいです。
これから2週間よろしくお願いします。』
頭を下げるお兄ちゃん。
そして歓声はさっきよりも大きくなる。
「浩兄…めっちゃ格好良くなってる。」
後ろでは未来が興奮している。
まったくこれからどうなるんだか…。
先が思いやられるよ……。
私はまた、大きな溜め息をついた。