『別にな?



夢があるからって偉い訳じゃないし

夢がないからって焦る必要はない。


ゆっくり考えればいいんだよ。


高校で夢がなくても大学行って夢が見つかるかもしれない。



それに人それぞれだろ?


藍葉も川北も清水も

西城とは違う。


3人には夢があっても、


西城は西城だから。



大丈夫…何も心配することねぇよ』


先生は私の頭に手を置く。



懐かしい先生の手。


胸がすごく苦しい。


もう先生……無理だよ…



私は鞄を持ち立ち上がった。



「先生…ごめんね?」


私は調理室のドアを開けて廊下をダッシュで走る。




後ろから聞こえた声。



『西城、待てよ!

おい、零!!俺はまだ…』


ここで先生の声が聞こえなくなった。



私は足を止める。



ねぇ…先生。。


学校で『零』なんて呼んだらダメだよ…


みんなに気づかれちゃうよ?


でもそんなことを思いながらも本当はめちゃくちゃ嬉しかった。


どうしようもなく嬉しくて、

どうしようもなく胸がキュンとした。


先生のバカ



先生のこと、



余計に忘れられなくなっちゃったじゃん…