千春とこの美人の若い女性は顔見知りなのだろうか。

「はいはい、今日もちゃんと準備しとるよ。待っとってぇね、姫羅木さん」

店の奥へと引っ込んでいく千春。

その間、店先には僕とその女性…姫羅木さんの二人だけになる。

「……」

姫羅木さんが、僕を見た。

その瞳は、ちょっとギョッとする。

まるで野生動物の目だ。

『コイツは何だ?』

『縄張りを荒らしに来たのか?危害を加える奴なのか?』

そんな思考を巡らせ、警戒している目。

おかしな真似をしたら、速攻逃げるなり攻撃するなりの行動を起こすぞ。

…そんな野生の生き物の目だった。

その視線に耐え切れず。

「あ、あの僕…紬 雄大っていいますっ」

何か話さなければと思い、思わず自己紹介してしまう僕。