向日葵の咲く頃に

蝉時雨を聞きながら、僕と千春は同年代ならではの会話に華を咲かせる。

スーパーでの仕事の事、都会の大学の事、夏休みの事、自転車の事…。

初対面だというのに打ち解けるのは早くて、僕と千春は意気投合していつまでも話し続けた。

僕は自転車旅を、千春は仕事を。

すっかり忘れて話し込む。

何せお客なんて殆ど来ない田舎のスーパーだ。

一時間二時間喋り続けていたって何の問題もない。

とはいえ。

「あ、いけんいけん、ちょっとサボりすぎてしもぅた」

流石にまずいと思ったのか、千春が立ち上がる。

「ああ、ごめんな?仕事の邪魔しちゃって」

ペットボトルをクズカゴに捨て、僕も立ち上がる。

…ちょうどその時だった。