向日葵の咲く頃に

どのくらい登り続けただろうか。

ガードレールの向こう…崖の下からは、清流のせせらぎが聞こえる。

河というよりは峡谷だ。

ところどころに吊り橋があるような、如何にも山奥といった風情。

風景からも、涼をとる事はできるものだ。

時折頬を撫でる、ひんやりとした風を心地よく感じていると。

「お」

坂の上に、建物を見つけた。

こぢんまりとした…スーパーだろうか。

コンビニ程度の大きさの店に、車なんてせいぜい5台くらいしか停められない大きさの駐車場。

その敷地の入り口辺りに、『ようこそ冬城町(とうじょうちょう)へ』と書かれた看板があった。