おばあさんに別れを告げ、僕は自転車を漕ぎ始める。

思った以上の急勾配。

路肩をひたすらに立ち漕ぎで登る僕のロードバイクの横を、次々と自動車が追い抜いていく。

気にしない、気にしない。

へこまない、へこまない。

元々急ぐ旅じゃなし。

僕は僕、他人は他人。

マイペースで行こうじゃないか。

呼吸を乱し、汗を流し、陽光で焼けた肌を黒光りさせ。

僕は遮二無二ペダルを踏む。