直後、その奔流が霧散し始める。

「なぁっ!?」

素っ頓狂な声を上げる姫羅木さん。

…彼女も言った通り、この最大級の神通力には制約がある。

葬送の炎とは、天狐が蓄積していた神通力の全てを炎として解放する。

それは全ての神通力を使い果たすという事。

人間の姿に変化する力も、狐火を発生する力、源である四尾さえも失うという事。

天狐としての何もかもと引き替えに、圧倒的な力を以って敵を葬送する。

故に葬送の炎を使った後は、天狐は只の狐へと逆戻りする。

神通力など欠片も持たない、野山を駆けずり回っている只の狐に…。

それが結果として、“完全魔術耐性”(マジック・キャンセラー)に完全に防ぎきられたとしても同じ事だ。