風の向くまま、気の向くまま。

道なりに、ただひたすらペダルを漕ぐ。

ああ、いいなぁ、こういう一人旅。

こんな旅行、一度でいいからしてみたかった。

…夏真っ盛り。

太陽は頭の上で燦々と輝く。

ここから先はひたすらに急勾配の山道が続くようだ。

坂道に差し掛かる前に、小さな商店に立ち寄ってミネラルウォーターを購入。

しっかりと水分補給する。

「まぁまぁ、都会の学生さんね?遠いとこまでよぅ来ちゃったなぁ」

皺くちゃの、可愛らしい印象さえ受ける店番のおばあさんが、にこやかに微笑みながら言った。