天音が額に触れようとすると、新川は両腕で額の前をガードした。

気まずそうな表情が、手の隙間からでも見てわかる。



「ごめん、触んない」

「……熱ないから」

「ん。お大事に」



どことなく具合の悪そうな新川を気にしつつ、天音は講堂を飛び出した。



扉を出て下手側――右側には絵が飾ってある。それとは反対側へ進んだ奥に、演劇倉庫がある。

普段は演劇部が大道具や備品を置いている場所だ。

天音は演劇部なので、中の勝手はよく知っている。



ガムテープは確か、クローゼットに入れられた箱の中だ。