「何でそう思うの?」

「……一生なんて、荷が重いだろ」

「でも、三日このままってのもきついよコレ……」

「早退して三日間風邪で休んだことにすればいいだろ」

「嫌だ授業わかんなくなるもん」



天音が口を尖らせて不満を言うと、新川は身をよじって天音に向き直った。

暗い目で静かに見つめられ、天音は自然に背筋を伸ばしていた。



「そんなに甘いものじゃない。あの時三日だけ我慢すればよかった、なんて思う日が来る。……絶対に」

「どうして? 根拠は?」

「……目を」



見てろ、ということだろうか。

天音は新川の瞳をじっと覗きこんだ。



虹彩の黒が、じわりと揺らいだ。

そして、燃え立つような紅が湧昇してきた。



あっという間に、新川の虹彩は鮮やかな赤に染まっていた。

その色があまりにも妖艶で、天音は思わず息をのんだ。

肌を覆う血の色の紋様と、艶やかな紅の瞳。

――ああ、そうなのか、と天音は遅ればせながら理解した。



「俺、人間じゃ、ない」