ふと天音は新川の方に視線を投げた。

新川は腹部に手を当てて目を伏せていたが、天音に気づいて見つめ返してきた。



『積年の研究の結果ですねー……誰もかれも、皆そうしてきましたから』

「でも人間ってそういうものじゃないでしょう」

『それは貴方が透夜の口から聞いてください』



どうにも明瞭でない言い回しに、天音は苛立ちを覚え始めていた。

何か大切なことを教えてもらえていない、そんな思いが喉のどこかに引っかかっていて、竜也氏の言葉を飲み込めないでいる。



「新川くんの話を聞きます。しばらく切ります」

『どうぞ』



天音は通話を切り、隣に座る新川に携帯を返した。

何を訊こう、と思っても言葉はすぐには出てこない。



「……ねえ新川くん、どう思う」



悩んだ結果口から飛び出したのは、一番アバウトな質問だった。



「三日耐える方が、賢明じゃないか」