『どうも。トウヤの責任者です』

「どうも……」



電話の相手の声は、少しハスキーな大人の男性のものだった。

初めて聞く声だったが、その中になじみのある響きがほんの少し混じっているようで、天音は肩の力を抜いた。


そして、彼の言葉の中に聞き慣れない単語を見つけた天音は、新川に訊ねた。



「トウヤ?」

「あ……いや、トウヤは俺だ。透明な夜で、透夜」

「そうなの! じゃあ責任者は?」

「それは長くなる。後で」



保護者ではなく責任者、というところにただならぬものを感じつつ、天音は再び相手との話に戻った。



『ご質問は?』

「お名前は」

『……誤魔化されないねえ、お嬢さん』

「当然です」

『じゃあ教えようか。俺は、苗字伏せて名は竜也』