新川の背中は大きくて、しかしどこか陰りのあるような、不思議な雰囲気をまとっている。

無意識なのか、右手で腹部をかばうような体勢になっていることに、天音は気づいた。

訊けばまた受け流されるのだろうかと思い、天音はそれについては触れないことにした。



「ねえ」



天音は小声で新川を呼び、数段先にいる新川に小走りで追いついた。



「なんだ」

「なんでさっきまで触らせてくれなかったのに、急に触るようになったの?」



口を塞いだり、抱え上げたり。

それは、少し前まで接触を拒絶していたことを考えると、矛盾した行為に思えるのだ。



「……一回、手が当たっただろ」

「うん」

「あれでもう手遅れだった、と思う。ずっと、『人に触るな』って教えられてた」

「こうなるから?」

「多分。それも今から訊く」