ドレスの裾を掴んで持ち上げ、通路を走る。

風を受けた裾が、体の後ろでなびく。



天音が見据えるその先には、一足先に行動を出ようとする新川の姿があった。



行かないで、待って。

そう叫んだつもりでも、声は喉に詰まって、息しか漏れなかった。



走って、走って、閉まる寸前の扉を、体当たりするように押し開けた。



その時天音は、ドレスの裾を思い切り踏みつけてしまった。



「っわ、」



両手を振りまわして、前に倒れまいともがく。

しかしその努力も虚しく、天音は派手に転んだ。



「いたー……」


「何やってんだ鈴原」



頭上から新川の声が降ってきた。

天音は、顔を上げずに呟く。



「こけた……」