「うわ、ガムテープ」



我に返った天音は、大道具係に頼まれていたガムテープのことを思い出した。

椅子から落ちたり話し込んだりと、ずいぶん時間を潰してしまった。

大道具係が怒っていないことを願うしかない。



「怒ってませんように……!」



ガムテープを握りしめて、演劇倉庫を飛び出した。

その勢いのまま講堂のドアを突破し、中央の通路を駆け戻る。



「お? 天音おかえりー」

「ただいまっ」



まだ舞台に座り込んでいる久遠への返事もそこそこに、舞台横下手側の扉を開け放った。

大道具係とドラゴン(正確には悪魔)頭部が一斉に天音の方を向く。