突然、天音は指先に痛みを感じた。

それは静電気のような、電流のような、指先から体の中心へ走っていく奇妙な感覚だった。



「いたっ」



二人同時に、反射的に手を引っ込めた。



「今の何!? ってちょっと、ねえ、新川くん!」



天音にガムテープを押し付けて、新川は早くも演劇倉庫から立ち去ろうとしていた。

扉に手をかけたまま、新川は振り返った。



その視線があまりにも鋭くて、天音は息をのんだ。

新川の視線は天音の声を詰まらせ、言葉を封じ込める。



ついに何も言わせないまま、新川はその場から立ち去ってしまった。