一瞬だけ新川が見せた裏側を、天音のアンテナが感じ取った。

ちくり、と棘に指で触れてしまったような感覚に、天音は戸惑った。



そのまま愁いの落ちた顔を見つめていると、不意に新川が目を開いた。



視線が、ぶつかる。



暗い色の奥の奥に吸い込まれそうで、それでも先に目を逸らしてはいけないような気がして、天音は待ち続けた。