The passing heart


奏翔の何気ない言葉があたしをドキドキさせる。


シチューを置いてテレビを見る奏翔の横にチョコンと座った。


「なんだよ、せっかくシチュー持ってきてやったのに食わねぇのかよ?」

「後で食べるよ」

「ダメ、今。何も食べてないんだろ」

「食べたよ」

「嘘つくな。水しか飲んでねぇだろ」


「・・・・・・・・」


そう言ってキッチンを指さす奏翔は少し怒ってるようにも見えた。

何も使用されていないきれいなキッチン。
唯一あるのはさっき飲んだミネラルウォーターのペットボトルだけ。