パシッ!


「蓮!やめろよ!!」



あたしの腕は長谷川満羽に向かう事なく空中で止められた。


目の前の女はあたしにしか見えないよう小さく笑った。

「奏くん!!蓮ちゃんが・・・・っ!!・・・・うっ・・・ヒック・・・・」


長谷川満羽は見事な嘘泣きをしながら奏翔にしがみついた。



「・・・・奏翔っ・・・・・」


「お前なにしてんだよ!!!」


「・・・・・・」


今あたしが何言っても奏翔は信じてくれない。


だって・・・・・奏翔の目が"お前、最低だな"って言ってる気がしたから。



「うるさいな。ラブメモリアルなら他でやってくんない?」


「は?」


奏翔はキレている。
奏翔のそばにずっといたんだ。
それくらいわかる。


「だから〜恋愛ごっこか何か知んないけど、目の前でそういうのやめてくんない?目障り。じゃあね」

「蓮、ふざけんな!!おいっ!」


奏翔の言葉は無視して保健室を出た。



どうせ、突き離されるならあたしから突き離す。



もう、これ以上に選択肢はなかった。