時々わたしは、この隣町に来ては彼に会いに行くんです。
ぽつんと佇み人を待ってる。
赤い、少しくたびれたポスト。
わたしを待ってくれるのは、ただそれだけ。
それでも何度でも出すんだろう。
名前も住所もない、名無しの手紙。
ぽつんと佇み人を待ってる。
少しくたびれたしましまのマフラー。
ねぇ、もう雪の季節だよ。
今年も暖冬だって、毎年のように聞くけど、そんなに暖かい訳ではないんだよね。
『当たり前だろ。』
きっとあなたはそう言うんだろう。
カタン。
小さく渇いた音を確認すると、祈るように目を閉じた。