同じ大学のやつらばかり男4人で、先に居酒屋に入った。


女をソワソワしながら待つメンバーを尻目に俺は、さっさと来たビールに口をつける。



『…なぁ、弘樹。
一応確認しとくけど、愛想良くするんだぞ?』


まるで保護者のように浩太は、俺の顔色を伺うように話す。


“ハイハイ”と聞き流す俺に、浩太はため息を混じらせながらそれ以上は何も言わなかった。


クソうるさい連中も、コンパごときで鼻の下を伸ばしてる連中も。


そのどれもに、苛立ちが抑えきれなくて。


何で俺は、美緒じゃないとダメなんだろう、って。






『遅くなってごめんねー!』


顔を上げるとそこには、相手であろう女4人組の姿がある。


興味もなく俺は、視線を手元のグラスに戻した。



『ユキでーす♪』


『マキでーす♪』


口々に言われたって、覚えられるはずもなくて。


言葉と共に席に腰を下ろした女達の顔なんて、見ることはなかった。



俺の気持ちなんてお構いなしに、その場が盛り上がって。


自分から望んで来たはずなのに、今は居心地の悪さばかり感じてしまう。


虚しさを覚えながら人より早くグラスを開け、

“トイレに行く”と言って席を立った。


どれも同じようにしか見えない女達。


美緒との違いが何なのかなんてわかんないけど、やっぱり俺は心を動かされなくて。


トイレの前でひとりになって開いた携帯には、当たり前だけど誰からの着信もなかった。


パチッと閉じたそれをポケットに再び仕舞い、壁に体を預ける。


遠くで聞こえる笑い声が、今は俺の中に雑音として響いて。


酒の所為なのか、胸焼けばかりに襲われる。