僕がはっきりといじめというものを認識したのは、小学校三年生の時だ。


 いじめの対象は、割と仲の良かった村山くん。


 いじめの主犯はクラスの番長、勝木くん。僕はどちら側でもない、傍観者の立場だった。


 いじめの発端とか原因ははっきりわからない。おそらく些細なことなんだろうと思う。


 勝木くんの三つ隣の席に僕が座っていたとき、村山くんが僕に話しかけてきた。



 「あのさ、教科書見せてくれない?」


 僕はそれを無視した。勝木くんがこっちを見ていた気がしたからだ。このとき、僕と村山くんの縁は途切れた。