ちょうど2人分。


椅子の上には鞄。



確実に絶対誰か取ってるでしょっ?!



あたしは慌てて辺りを見渡す。



しかしこの席を取っている人らしき人は見当たらない。



そんなことお構いなしに、琴子は椅子の上の鞄をポイと前に投げた。


まるでゴミを投げるような仕草にあたしは言葉を忘れる。



「ちょ…」



「いいところ取れてよかった~!」



一番前。


そしてど真ん中。



確かにかなりいいところだよ…ありえないくらいいいところだよ…。



でで、でもね…?


でもね琴子さん…ここ…確実に人いるよ…?



けどあたしはそんなことを言えなかった。


こんな幸せそうな琴子の顔を見て言えるわけない。