先輩は「冗談だよ」と笑ってそう言わない。



先輩…?




「答えて、香澄ちゃん」



先輩が少しも笑わないから、あたしは「面白がっているんですか?」そう言って、笑えなかった。



きっと、先輩は本気でこの質問をあたしにしてきている。


だからあたしは大きく深呼吸をして正直に自分の気持ちを口にした。



「悲しいです」



「どんな感じに?」



深く聞いてくる質問に戸惑うかと思ったが、案外すんなりと言葉が出てきた。



「胸が苦しくなります。悲しくなって、そして泣きます」




〝そして泣きます〟



自分で言ったくせに、なぜか突っ掛かりを感じた。



なんだろう。


この胸に引っかかるこの感じは。



…分からない。



あたしが顔を顰めた瞬間、先輩はふっと微笑んだ。