「荒木さんを信じると、そう言っているんです」
先輩の言葉があたしの中で響く。
あたしの視界は涙で歪むばかり。
先輩は…本当にあたしを信頼してくれているんだ。
「だからあたしは今回、初めての彼女を主役にしました。見てみたいんです、彼女がどう表現するのかを」
「俺も寺原と同様です。荒木さんの声を聞いた瞬間、なにかがビビっときたんです。この子ならできるんじゃないかと。俺も荒木さんを信じます」
先生は何も言えなそうに顔を崩した。
先輩たちの表情はとても真剣だった。
あたしは1人、階段の隅っこで涙を流した。
知らなかった。
知っていたけれど知らなかった。
こんなにも先輩たちに信頼されていたなんて…
なんてあたしはバカだったんだろう。
「だから、お願いします」
「お願いします」
そう言って、深く頭を下げる慎也先輩と弥生先輩。

