「感動モノでしょー?楽しみだなぁ~」
「かなり難しいんだよ」
あたしのながーいため息。
琴子は面白そうにあたしを見つめていた。
まったく、見るだけの人はいいよね。
こんなに大変だなんて、演劇部に入ってみないと分からないよなぁ。
不意にトントンと肩を叩かれた。
あたしがゆっくり振り向くと、そこには同じクラスの女の子3人がいた。
「荒木さん、えっと…あの先輩が呼んでるんだけど…」
オドオドしながら廊下を指差す。
慎也先輩が笑顔で手招きをしていた。
「あ、ありがとう。ちょっと行ってくるね」
「行ってらっしゃーい」
立ち上がり、向かうは先輩の元。
きっとあたしの顔はありえないくらい笑顔だろう。

