あたしは身を仰け反らせて、なんとか琴子から逃げようと試みる。 しかしそれは無理だった。 琴子に敵うはずがなかったんだ。 「入れ」 命令形にあたしは驚いて目を見開く。 しかしこんなことであたしの気持ちは揺るがない。 「いらない」って言われたんだ。 あたしは必要ないってことでしょ? 「あたしは入部しないよ…」 急にトーンが下がったせいか、琴子の手が緩む。 あたしは、あそこに必要ない。 あんなにキラキラしていた演劇部。 あそこにあたしは必要ないでしょう?