あたしが演劇部に入る、という話はなかったことになったと思う。 そっちの方が、あたしも嬉しい。 「香澄、コワイ」 ぐりっと眉間をつままれた。 どうやらシワが寄っていたらしい。 季節は春。 ぽかぽか天気。 ハラハラ舞う桜に、ヒラヒラ飛んで行く蝶。 そんな景色を見て、ハタとひとつ気がついた。 あたし…春から良いこと一個もないじゃん。 高校生になったら、それなりに充実した高校生活を送れると思っていた。 やっと憧れの高校生になれたのに。 「はぁ…」