「ヒロが泣く意味ないじゃん」 「……あるんだよバカ。そんなこと言うな!」 ヒロの私を抱きしめる力が更に強まる。 「……ごめんね、」 「…謝んな」 「あのね、これ返さなきゃって思って」 薬指から、指輪を外す。 「…ありがとう。今日だけ、ヒロの奥さんになれた」 「…今日だけとか…言う、なっ」 ヒロの顔は涙でぐちゃぐちゃだった。 「プロポーズね、嬉しかった。けど、取り消しね」 ヒロは顔を横に振るばかりだった。