彩乃の綺麗な顔でぐっと覗き込まれたら、否定なんてできるはずがない。



とりあえず無言で頷くあたしを見て、彩乃が口を開いた。



聞かれたことは、主に頼城先生とあたしの会話の内容について。



「ケーキの感想は?」

「髪とメイクのことは何て?」


みたいな細かい質問攻めにあった。



最後に「なんで“奏”って呼ばれるようになったの?」と聞かれた時は、答えるのが恥ずかしくて仕方がなかったし……



先生には呼び捨ての方があってるから、って理由であたしが頼んだ


そう答えた時の彩乃のにやりとした笑顔は、あまりにも美しすぎて少し恐かった。



そんな話を1時間くらい続けた頃に、勇人から部活終了の連絡がきた。



「やばっ!奏、急ごっ!」



慌てる彩乃につられて、あたしも急いで席を立った。