「あのっ、もしかしてチーズケーキ?」



頼城先生が、後ろのシートから小さめのバックを取り出した。



「え? これ、チーズケーキだったのか?」


「あっ、はい。でも、あたしが作ったのなんで、味の保障はできませんけど……」



バックに入っているのは、小さな白いカップに入った2つのチーズケーキ。



「本を見ればできるでしょ!」

って、彩乃が他のモノを作っている傍らで1人で作らされたんだ。



「見た目も綺麗だし、旨そうじゃないか。チーズケーキって割とあっさりしてるし好きなんだよ、俺」



片方のカップをあたしに渡しながらそう言った先生が、とても優しく笑った。



「意外……です。頼城先生とケーキって」


「奏に言われると何か傷つくな。勇人辺りなら頭でも叩いてやるんだけど……」



あまりにも真剣な表情をする先生がおかしくて笑うと、ますます怪訝そうな顔を向けられた。



「あ、そういえば……」