勇人とこんな会話をしたからなのか


音楽室での奏を思い出した。



いつもと違う髪型や化粧に思わず反応してしたり、口走ったりしたことを考えると

この年で恥ずかしいことをしたな、と焦りを感じる。



でも本当に焦ってるのは、俺自身の中にある、この想いに対して……だろ?




隣で眠る奏は、何回見ても幸せそうだ。


思わずそっと手を伸ばして、奏の頭を撫でる。




言いたいことも、気になることもたくさんあった。


切望してやまないことも、ある。



俺は、すっと手を離して空を眺めた。





黒い空に瞬く星は当たり前のように明るくて

何だか嫌味だな、と思った。