小さな、やや不満そうな声で言われた言葉に、若干の焦りを感じた。
「どういうことだ？ 何か知ってるのか？」
『何焦ってんだよ。俺は何も知りませんー。……ただ、なんとなく。何か引っ掛かってることがあるんじゃないかなーって思ってさ』
「妙に鋭いじゃねぇか」
『ははっ。よく言われるよ。何かあったら言えよな。日頃のお礼として相談にのってやるよ』
「調子にのるな。ま、その言葉はありがたく受け取っといてやるよ。お前も、何かあったらすぐ言えよ」
『ありがとな、頼城ちゃん！』
「……ちゃんはやめろ。それならまだ、呼び捨ての方がマシだ」
『ははっ。それじゃあますます教師っぽくなくなるな！
ま、いっか！じゃあ、こっちは彩乃に上手くやってもらうから。またな、隆夢！』
勇人らしい明るい声が響いて、電話は切れた。
呼び捨てで良いとは言ったが……名字じゃなくて、名前かよ。
