真顔の勇人に対して、先生の表情は一気に曇り始めた。
「それ以外にはないのかよ……」
「ない。彩乃と俺が開けたからな。
あっ、でも奏は寝起きに飲むことになるから、すっきりしてるお茶のが良いかも……なんて?」
明らかに不機嫌そうな顔をした頼城先生だけど
はぁ、とため息を吐いて、勇人の手から無言でいちごみるくを奪った。
今朝、勇人が送ってくれたメールを思い浮べる。
確か、好物の下には注意書きがあった。
“頼城ちゃんは甘いものが苦手だから気を付けろよ!”
この人が、誰にでもここまで優しいのか
奏にだからここまで優しいのか
それはあたしにはわからない。
でも、後者だったらいいのに……
なんて、勇人がさりげなく隠した、未開封のブラックコーヒーを見ながら思った。


