「いつものナチュラルな感じも良いけど、髪を巻いたり、化粧をしてる、今日の押端さんも結構良いと思うよ」



先生、一体どういうつもりだろう?


あたしがこれ以上先生に夢中になったら……責任とってくれるの?



「……奏、で、いいです」


「え?」



気付いたら、あたしはそう口を開いてた。



あたしの顔を覗き込んだままびっくりする頼城先生を見て、やっと自分の発言の意味を理解する。



「あっ、いや。別に変な意味があるわけじゃなくて、……。

えっと、その、人の名前を呼ぶ時に“さん”をつけるよりも、呼び捨てにした方が、今の頼城先生には似合うかな……と、思って」



どうにかして自分の恥ずかしい発言を取り繕おうとあたふたしながら

とりあえず、思ったことを正直に言った。



すると、さっきまで驚きで見開いていた目が、優しく微笑みかけてくれた。



「確かに。俺は、さん付けってキャラじゃないな」



今度は大きく笑った先生が、あたしを見て言った。



「じゃあ、これからは仕事じゃない時は奏で。勇人たちのことも、普通に名前で呼んでるしな」


「はい!」