「そーいや彩乃。飲み物なくね?」
みんなで騒ぎながら食事をして、お弁当箱も空に近づいた頃に勇人が言った。
先生や勇人が、おいしいって言ってくれることが嬉しくて
初めて先生と長時間一緒にいられたことがやっぱり嬉しくて
そんな空間の居心地の良さで忘れてたけど
食事をしていたせいもあって、のどの渇きはごまかせない。
「あっ、ごめんね。料理に気をとられて忘れてた……。あたし買いに行くよ。何がいい?」
みんなに向かってあたしが言うと、勇人が大きく首を横に振った。
「あー、大丈夫! 俺が言いだしたんだし、自分で行くから。
奏はゆっくりしてろよ」
「えっ、でも悪いよ……」
そう言うと、勇人はにこっと笑った。


