机に広げられた大人数用のお弁当箱を見れば

自分が作ってるものがその一部だってことはわかる。



でも、その意図がわからない。



あたしは、ぶくぶく音を立てるお鍋からキツネ色になった鳥肉の欠片を取出して

キッチンペーパーの上に並べた。



「あっ、奏ー。次はサンドイッチ作っといて!具は机に置いてあるスクランブルエッグとレタスとトマトとチーズ……あっ、あとハムね!」


「はぁい」



話ながら、彩乃は整え終わった挽肉をフライパンの上で器用に引っ繰り返していく。



9時から料理をし続けて、今は10時30分。



前が読めないこの行動に、あたしは首を傾げるばかりだった。




「よーしっ!完成っ!」



料理がぎっしり詰まったお弁当箱を見ながら彩乃が言った。



上の段には、からあげ、卵焼き、ハンバーグ、ブロッコリー、かぼちゃにプチトマト。



下の段には、正方形の小さなサンドイッチとカラフルなおにぎり。



それに、丸い容器が4つ入った保冷剤入りのバック。



「やばっ!奏、急ぐよ!」


「へ?」



まだ状況がわかってないあたしを引きずって、彩乃は自分の部屋に駆け込んだ。


そのままあたしをいすに座らせて、彩乃はがさがさと棚を探ってる。



「悪いようにはしないから、あたしに任せて?」



ウインク付きでそう微笑んだ彩乃に、もちろんあたしが逆らうことなんてなかった。