涙の止まらないあたしを見て、彩乃は綺麗に笑った。
「奏はさ、まだ何もやってないんだから。
泣いちゃうほど、勇人が持ち出したバンドの話で揺らいじゃうほど大きい夢なんだったら、限界までチャレンジしてみなくちゃダメ!」
彩乃は、これでもかってくらいに、大きく笑った。
「だから、受験勉強しながら、大学行きながら、夢にチャレンジできる道を探そう?
ほら、今って、オーディションなんかもすごくたくさんあるし……チャレンジする方法なら、たくさんあるんじゃない?」
そして、彩乃はあたしの肩をガシッと掴んで真剣な表情を見せた。
「言いにくいけど、然るべき時が来たら諦めも必要だと思う。だから、それまでだけでも、諦めずに最後まで足掻いてよ!
そうしないと、奏の諦め癖はいつまで経っても治らないし、人生だってつまんないモノになっちゃうよ?」
彩乃の言うことは、正論。
わかってるけど、やっぱり胸が痛い。
そんなあたしに気付いたのか、彩乃は一度ため息をついて
あたしとまた、視線を合わせた。


