「何で固まってんのよ。
あたしは奏の親友だもん。最近の表情を見てればわかるわ」


「えっ、あたしってそんなに顔に出てるの?」



必死に諦めようとしてるのに

表に出さないようにしているのに

全部無意味だったってこと?



そう思ったら悲しくなって、あたしは思わず俯いた。



「いや。気付いてるのなんてあたしと勇人くらいでしょ。奏は演技上手すぎだし」



そういえば、彩乃と勇人ってものすごく頭良いし

勘が当たるんだった……



2人に隠し事が通じないのはいつものことだ。


だけど、2人があたしが自然と口にするまで

もしくは、あたしが崩れる寸前まで黙っててくれるのも、いつものこと。



「本当はね、こんなこと聞かないつもりだった」



さっきまでとは打って変わった彩乃の静かな声に、あたしは顔を上げた。