「奏、何でこっち?駅行かねーの?」



いつの間にか彩乃と話し終わってた勇人が、あたしに向かって言った。



「今日はね、親が出張でいないから、彩乃のとこに泊まるの。
明日は土曜日だけど練習ないし」


「まじ!?それにしては荷物少なくね?」


「まぁ、彩乃に借りるものもたくさんあるし。勉強道具はたくさんあるけど、いつものことだし」


「なるほどね。
しかっし、いーよなー!彩乃の家にお泊り。俺も泊めてっ!」


「それは無理。今日は奏とじーっくりガールズトークするんだから!
夕飯くらいなら良いんじゃない?」



あまりにもテンポが良い掛け合いに、思わず微笑む。


あたしも2人みたいになれたら良いのに……―――





結局、彩乃の家で夕食を食べることになった勇人。


帰るのを渋る勇人を2人で追い出してから、あたし達は目を合わせて笑った。